自己暗示はアスペルガー人の持つ最強テクニック (1) /心のリセットボタン

アスペルガーの思考と生き様

アスペルガー人は、「想定外の事態に対応できない」という弱点を補うための処世術として、高い整理整頓力を持っています。
整理整頓力とは、見定め、分類し、測定し、最適化する能力です。これにより、物事は論理的に法則化されて、あれこれ迷わないようにセッティングされています。

部屋の模様替えや荷物のパッキングであればいいのですが、この能力は自分にまつわる全てにおいて発揮されます。
感情表現も、思考のプロセスも、日常の習慣も人間関係も、何もかも整理整頓されてしまいます。

感情が整理整頓されると、感情と行動が単純化され法則化されることになるので、融通の利かない感情スイッチをいくつも抱えることになります。

感情スイッチの活用テクニック「自己暗示」

アスペルガー人は、理性や思考、判断を司る前頭葉の働きが弱いため、感情のスイッチが行動と直結しています。

怒りや寂しさなどの「ネガティヴスイッチ」の場合は、無意味な攻撃性にもつながりかねないので注意が必要です。
楽しさや愛しさなどの「ポジティヴスイッチ」の場合はどうかというと、恥や自尊心などの他の感情が邪魔をして素直に表現できなかったりします。逆にそこを取り払って直接的に表現するようになってしまうと、それはそれで恐ろしいことになりかねません。アスペルガー人は、状況に合わせた行動の制御が苦手なのです。

このように、制御不能の感情スイッチはアスペルガー人の悩みの種でもありますが、決して悪いことばかりではありません。あるテクニックを磨けば、この性質がうまく生きる場面もあるのです。

それは「自己暗示」です。感情と行動が直結しているのなら、行動から感情に働きかけることはできないか、という、マイルールを逆手にとった発想です。
さすがに性格を変えたり好き嫌いを覆すほどの暗示はかけられないので、僕はこの自己暗示を、悪い流れをリセットするためと、自分の人生を幸福だと思い込むために使っています。

僕の代表的なリセット方法は、とてもシンプルです。自己嫌悪に陥った時、あれこれ考えすぎて袋小路にはまってしまった時、怒りに潰されそうな時などに、僕は必ずこのような行動を起こします。

「ひとりで近くの銭湯に行ってサウナに入って、その後、食べきれないほどの宅配ピザを食べながらウィスキーを飲んで、そのまま眠る」

サウナとピザとウィスキー、僕の大好きなものコンボです。これをすればなんでもリセットできると思い込んで、何か嫌なものに潰されそうになった時は必ず実行していました。「なんでこんなことで?」と思われるでしょうが、難攻不落のマイルール発動の効果なので、リセット成功率は100%です。独自調査によると、失恋の痛みさえも癒せてしまいます。かれこれもう20年以上引き継がれているリセット方法です。

自己暗示は、普通の人はそう簡単にできるものではないかもしれません。
しかしマイルールを愚直に守り続け、ルーティーンや法則性に安心感を得やすいアスペルガー人にとっては、決して難しいことではありません。
感情と行動が直結しているからこその、マイルールの「融通の利かなさ」をうまく利用するテクニックです。

リセットボタンの設定方法

もちろんマイルールなのでリセット方法は人それぞれですが、その方法を見つけ出す際は、これらのことが重要な基準になってきます。

  • 自分が気持ちいいもの
  • 人の手を借りないでできるもの
  • 自分が動きさえすれば簡単に手に入るもの
  • 運に左右されないもの

これはストレス解消法とは違います。自己暗示であり行動と感情の法則化ですので、邪魔が入る可能性を極力排除する必要があり、なおかつシンプルである必要があります。
運任せや人任せになるようなものはダメです。自己完結にすることで法則の実効性を完璧に近づけなければ、成功率100%の自己暗示とはなりません。
それが僕にとっては、サウナとピザとウイスキーだったのです。

自己暗示を成功させるために最も重要なのは「思い込む」ことですが、感情を操作するほどの強い法則性を持たせるためには、高い確率での成功体験を繰り返さなければいけません。
心のリセットに直結する行動は、ストレス解消にいいと言われるような方法が参考になりますが、基本的には独自の価値観で決めたほうがいいでしょう。安易に選ぶとこのような落とし穴が待っているかもしれません。

  • 部屋の掃除をする→気分が乗らないこともある
  • 買い物をする→買いたいものがないこともある
  • 家に帰るまでに一度も赤信号につかまらないことに賭ける→そうならない可能性が高い
  • 旅行に行く→実行までに時間がかかりすぎる
  • 誰かと話す→期待通りに自分が癒されるとは限らない

このように、その時々で変化する要素がちょっとでもあるのであれば、それが「思い込み」の邪魔になり、法則化は難しくなります。
そういうものは、リセットボタンとは違う「単発的に行うストレス解消のいち手段」として取り入れたらいいでしょう。それはそれで大きな助けになってくれます。

僕の場合、とんでもなく憂鬱な日に、すぐにできる好きなことをいっぺんにやってみたら思いのほか気持ちがリセットできて、それに味を占めてまた同じことを試してみたら同じような効果があって…、を繰り返しているうちに、このようなリセット術を発見しました。
僕はあれこれ考えすぎるアスペルガー人ですので、心にリセットボタンがあるというのは結構心強いです。
思い込みの激しいアスペルガー人は、この特性を利用しない手はありません。

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