もちろんあるよ。言葉の問題 /アスペルガーの語学習得

海外生活のススメ

言葉の裏にあるニュアンスを読み取ったり、相手の表情や身振り手振りや声の強弱から心理的な情報をキャッチすることが苦手だから、アスペルガーには語学が苦手な人が多いと言われています。
苦手なことには消極的になってしまい、些細な失敗経験の積み重ねや完璧主義の傾向がそれをさらに助長して、なかなか成長できないのです。

言葉の問題にアスペルガーの特性は影響するのか

アスペルガーであることが直接言語能力に影響するわけではありませんが、語学の習得に関してはそうはいかないようです。アスペルガーの様々な特性による心理的影響が、語学習得の邪魔をしてきます。
だから僕の語学習得力は低い。低いと思っているから、語学の勉強は子供のころから好きではなかったし、成績も他の科目に比べて良くはありませんでした。
そんな僕がタイで生活するうえで、言葉の問題はもちろんあります。

  • 他人への強い警戒心
  • 自意識過剰で、相手の反応を過剰に気にしてしまう
  • コミュニケーションへの苦手意識
  • 合理的に物事を進めようとする
  • 完璧主義で諦めが早い

といったアスペルガーの特性が影響して、タイ語をいくら習っても実践で使い続ける努力ができません。つたない発音を笑われるのが嫌なわけではなく、会話がスムーズに進まないことと、それを相手に面倒くさがられるのがどうしても嫌なのです。
そんな頑なさが僕のタイ語習得の邪魔をし続け、10年以上たった今でも、僕のタイ語は幼児レベルです。買い物でのやり取りやほんのちょっとした世間話、簡単な読み書きくらいならできますが、日常生活全般で困らないレベルでは全くありません。

普段の生活で僕が使う言語の割合は
「日本語45%+英語45%+タイ語10%」
くらいです。接している人の国籍はほぼ日本人かタイ人だから、本来ならば
「日本語45%+タイ語45%+英語10%」
にするべきなのですが、特に仕事の場では「第二言語同士でやりとりした方が誤解が生じにくい」という理屈を主張して、あまり頭を使わずにやり取りのできる英語に頼りきっています。

タイ語を積極的に使わないから、必然的にタイ人の友達は英語の話せる人に限られてきます。僕の英語は受験英語の延長だし完全にアジア訛りではあるけれど、「話せるか」と聞かれれば「話せるよ」と答えられる程度ではあります。
それで仕事も友人関係も成立してしまっていることが、僕をタイ語の勉強からさらに遠ざけているのです。

アスペルガー人にとって、言語はパズル?

わずか数年でタイ語でタイ人と話せるようになっていく周りの日本人を見て、どうして自分はいつまでたっても上達しないんだろう、という焦りはもちろんありました。
今でこそ、僕のこの語学力の低さは自分の持つアスペルガーの特性の表れだと理解していますが、アスペルガーの存在を知らなかったほんの少し前まで、僕はその理由を「理系脳」のせいにしていました。

「おれは完全な理系脳の人間で数字と図形の世界を生きているから、言語はパズルと同じなんだよ。ピースがひとつないだけで全体が成立しない。一つでも知らない単語があれば、会話の内容がよくわからなくなるんだ。だからいつまでたっても上達しないんだよね」
「文系脳の人はコミュニケーション能力に長けてるから、足りない部分を会話の流れとか他の情報から感覚的に繋ぎ合わせて会話を成立させることができる。だから言語の上達が早いんだよね」

これはタイ語学習の話題になった際に僕が使う言い訳の常套句でした。もうお分かりでしょうが、これはそのまま「理系脳→アスペルガー」「文系脳→定型発達」と置き換えることができます。つまりこの言い訳そのものが、自分がアスペルガーであることを宣言しているようなものでした。こういう思い込みを断定的に言ってしまうところが、アスペルガー人の恐ろしいところですね。

実際に、僕は数字や図形が大好きな筋金入りの理系人間です。
答えがあるものや規則的なものに興味を示す傾向の強いアスペルガーに、理系脳の人間は多いのです。

語学力が低い人は海外生活に向かないのか

海外生活の快適さを左右するのは、決して言葉の問題だけではありません。でも言葉の問題だけに焦点を当てて考えた時、海外生活を快適に営むためには、下の6つの項目のうちの少なくとも一つが当てはまっている必要があります。

  1. 助けになる人や通訳を雇うことができる環境、または財力がある
  2. 現地語を話せる家族や恋人がいる
  3. 現地語を本気で勉強する覚悟がある
  4. 英語と簡単な現地語、もしくは現地語だけで会話ができる
  5. 現地の日本人コミュニティの中だけで生きていくつもりである
  6. 旅行者以上のことをするつもりはない(いわゆる外籠り)

僕の場合は1番目(仕事の場のみ)と4番目が該当します。
1番目の「助けになる人や通訳を雇うことができる環境、または財力がある」については、通訳を雇っているのではなく、タイ人スタッフの採用条件に英語を必須としていて、タイ語での迅速なやりとりが必要な時にはそのスタッフに全部お願いしてしまう、という方法をとっています。

言葉の問題は、語学力が低い部類のアスペルガー人にとっては難しいことのようにも思えるかもしれません。実際に、暮らし始めると、語学力不足によって起こる面倒事に何度も遭遇することになります。しかし、せっかく手に入れた快適な環境を簡単には諦めたくないという思いが強ければ、面倒事を解消するために自然とどれか一つに当てはまるような行動をとるようになっていきます。そうならないようなら、海外よりも日本での生活の方が合っているということです。

もちろん、タイにいる以上、タイ語が話せるのと話せないのとでは生活の便利さが全然違いますので、ある程度は勉強する覚悟が必要です。これは自分への戒めでもあります。

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