孤独主義者の胸のうち / アスペルガー社会性の問題

アスペルガーの思考と生き様

アスペルガー症候群の特性は、次の3つの大きな柱に関連付けることができます。

  • コミュニケーションの問題
  • 対人関係、社会性の問題
  • 偏執的なこだわり

そこから派生する、アスペルガー人ならではの思考・行動パターンは多岐にわたります。
社会性の問題の根本的な原因には、コミュニケーションの問題と同様、超合理的思考と直接的すぎる言語感覚が織りなす「他者との感覚のズレ」が大きく影響しています。
それに「諦めの早さ」や「マイルールへのこだわり」などが加わることで「独特な世界観を持った孤独主義者」となってしまうのです。

孤独は苦にならないけれど、孤独は怖い

アスペルガー人は、コミュニケーションへの苦手意識が強いことから、他人との接触を極力避ける傾向があります。積極的に人の輪に入ろうとせずに一人でいることが多いので、他人から見たら、好きで孤独でいるようにしか見えません。
それでいて自己承認欲求は人一倍強く、人の目を気にしすぎる繊細な面もあるので、人から蔑まれたり誰からも相手にされないような「完全な孤独」に耐えられるほどメンタルが強いわけでもありません。
だから「孤独が好き」というよりは「孤独が苦にならない」と言った方が正しいかもしれません。感情がよく分からない他人の反応を気にしながら無理してコミュニケーションをとるくらいなら、孤独を選んで自分の世界の中にいる方が精神的に楽なのです。
だから一人行動も苦になりません。最近のお一人様ブームは、大歓迎の風潮です。

たとえ親友や家族に対してであっても「ここから先は立入禁止」という心理的な境界線が明確に存在し、そこを侵されてしまうと攻撃的になってしまうので、長く付き合う人はその感覚が共有できる人に限られてきます。だから狭くて深い交友関係を好むのです。
友人が少ないことによる物寂しさを感じることもありますが、友人が多いことによる面倒ごとやストレスへの強い嫌悪感もあります。この相反する2つの思いのせめぎあいが、アスペルガー人が抱く生き辛さの一つの要因でもあります。

ただし、同じアスペルガーでも、積極奇異型だけは少し違います。「自己承認欲求が強い」「共感力が低い」といった根源となる思考パターンは同じなのですが、「自己承認欲求を制御するフィルター」がザルなため、他のタイプのように人を避けて孤独を選ぶのではなく、逆に人に無遠慮に近づいて孤独を癒す傾向があります。

絶対的なマイルールが、自分だけの世界を構築する

アスペルガーには一般常識や暗黙の了解にとらわれない人が多いといわれますが、これは超合理的思考と絶対的なマイルール(独自の判断基準)が強く影響しています。
マイルールは、その人の人生経験や知識、生活環境などによって作られるので人によって違いますが、発想が論理的、つまりきちんと説明ができるということだけは共通しています。

一般常識や暗黙の了解とは、人間関係において古くから伝わる「慣習」だったり、子供らしさや男らしさなどの「らしさ」だったり、挨拶や敬語などの「場に応じた言葉遣い」だったりと、様々です。
もちろんアスペルガー人だって、そういうものが世の中に存在していて、それが何を意味しどんな効果があるかくらいは知っています。しかし自分がその行動をとり入れようとする時は、まず合理性に基づく意味を見出せるかの判定をしたうえで、マイルールのフィルターを通します。そのマイフィルターを通過しないものは簡単に無視することができ、それを躊躇なく言動に表せてしまうのです。

これは場面によっては、ブレない信念を持った強い人にも見えるし、堅苦しいものに縛られずに生きる自由人にも見えるし、空気が読めないだけの自己中にも見えます。
いずれにしても周囲とは一風違った言動が目立つことになるので、良くも悪くも浮いた存在になってしまいがちです。

アスペルガー人の集団でのふるまい

アスペルガー人は挨拶をしない、謝らない、ありがとうを言えない、とよく言われます。
でも当の本人は、挨拶も謝罪も感謝も普通にしていると思っています。
この認識の違いは、それをする合理的理由が自分にあるかどうかが絶対的な基準だからです。
しかもその基準はマイルールに従っているので、他の人にとっては難解です。
たとえ自分の意に反していたとしても、それを言ってしまえば場が収まる、相手がそれを期待している、といった理由があり自分自身が納得していれば、割とすんなり謝罪も感謝もします。
しかし 合理的理由を見出していなければ、決してそれを自発的に発することはありません。

挨拶も、例えば合理的だという理由から「後から入って来た方がするべき」というマイルールがあった場合、自分が後から来た場合は相手が誰であろうと挨拶をしますが、自分が先にその場にいた場合は相手が上司であろうと絶対に自分から挨拶をしません。
これは僕自身の改善すべきマイルールのひとつなのですが、このような行動パターンは、同じルールを持っていない人からすれば、ただ偏屈なだけに映ってしまいます。

また、興味や趣味趣向が限定的で、それをハッキリと主張する傾向が強いのも特徴です。
興味のあるモノには超人的な集中力を発揮する反面、興味のないものはまるで存在していないかのように扱います。それに注意を向けたり、ましてや時間や労力を投入したりなどは決してしません。
だから集団での共同作業の場であっても、自分に興味が沸かない提案には、たとえ協力が求められている場面であっても「やりたいなら勝手に自分でやってください」というスタンスを崩しません。
これでは周囲と共感も連携も作り上げることができないので、まとまりのない、殺伐とした集団となってしまいます。小中学校などで、クラスの中心人物にアスペルガー人がいたら、そのクラスを担任した教師はきっと大変な思いをすることでしょう。

このようにして、アスペルガー人は集団生活において他人を巻き込んだ失敗体験を積み重ねていきます。
その結果、自ら集団を避けるようになり、自分独自の価値観を愚直に守り続ける「自分だけの世界」を構築していくようになるのです。

集団で行動する際は特に、こういう特性が自分にあり、それが周囲に悪い影響を与えかねないということを意識する必要があります。合理的に考えることが得意なアスペルガー人であれば、集団として共有された方向性の中で、敢えてマイルールを通す方がかえって合理的でないことに気づくはずです。

集団のためにならない事案に対して前向きに異論を唱えることは間違いではありません。
でも受け入れがたい事が多数派な時などは、自分独自の方向性を見つけようとはせず、一切主張しないで指示待ちになってみるというのもひとつのテクニックです。
無駄に自分を損な立ち位置に持っていく必要などないのです。

COMMENT

タイトルとURLをコピーしました