自分でもよく分からない自分の感情 /アスペルガー感情認識のメカニズム(1)

アスペルガーの思考と生き様

愛、喜び、楽しみ、好感、安心、希望、充実、好奇心。。。
憎しみ、恐れ、怒り、悲しみ、寂しさ、嫌悪、苛立ち、諦め。。。
人の頭の中に渦巻く感情はたくさんあり、日々さまざまな形で自分や周囲に影響を与えています。
それらは互いに連動し合っていて、ある感情に伴う行動を表に出したくなった時、違う感情がそれを促進させたりブレーキをかけたりします。

たとえば、恋人との喧嘩がヒートアップして相手を口汚く罵ってしまいたくなっても、相手への愛があれば、相手に嫌われてしまう恐れや傷つけたくないという思いが勝つなどして、攻撃にブレーキがかかったりするのです。

しかしアスペルガー人は、自分の中にある感情同士、とりわけポジティブな感情とネガティブな感情が、互いに連動していない不思議を感じることがあります。両者はまるで同じマンション内の別々の部屋の住人のように、互いの存在に関わらない動きをしているのです。
その結果「温厚なのに冷酷」「平和主義なのに凶暴」「楽観的なのに用意周到」「愛しているのに攻撃的」などの極端な二面性がその時々で違う形となって表に出ることになり、自分の望まない形で相手を混乱させてしまいます。
当然自分の思いと言動がちぐはぐになってしまうので、当の本人も、自分の頭の中がどうなっているのか理解できません。

アスペルガーの思考パターンによる、怒りと行動のメカニズム

心の中にある各感情は、普段はマンションのように区分けされたそれぞれの部屋に待機していて、外部からの刺激を受けた主人に呼び出されると外に出てきます。
定型発達人の場合、マンションの外に出る前、つまり行動として感情が表に出る前に、主要な感情が集まって全体会議のようなものが開かれます。

議長「今日みなさんに集まってもらったのは他でもありません。ご主人が怒りのスイッチを押しました。さて如何したものでしょう」
怒り「任せてください。いつでも行ってやりますよ」
狂気「お前がヤバくなったら助太刀するからな」
平和「そんなカリカリしないで。なるべく波風立てずに解決させることはできないの?」
冷酷「その人のこと、いっそ切っちゃいましょうか」
愛情「ちょっと待って。君たち、相手が誰だか分かってるの?」
議長「そうなんです。怒りの矛先は、ご主人の妻。つまり我々の妻です。分析さん、説明をお願いします」
分析「はい。我々の妻は、1週間前に約束した部屋の片付けを、10日経った今の時点でほとんど手を付けていません。これと同様の約束36回中、反故にされたのは、今回で32回目です。3日前の会議の時点では、コトナカレさんから提案された”諦めからの静観”が採用されましたが、ご主人はもう我慢の限界のようです」
我慢「完全に舐められてんじゃん。約束は守るためにあるんだから、黙ってちゃダメだろ」
平和「できない理由があるのかもしれないよ」
分析「私の個人的な見解ですが、約束を守らないのはいいことではないですけど、他のことはよくやってくれてるのでそこに拘りすぎなくてもいいのではないでしょうか。何より我々の妻は、いつも我々を気にかけてくれています。ここで怒りさんに出動してもらっても、その後の面倒の方が大きいと思いますが」
愛情「愛には愛で答えようよ。ちゃんと話し合ったらいいじゃない」
恐怖「そうだよ。嫌われたくないし」
安定「確かにな。怒りさんが出動したあとは後悔さんのフォローが欠かせないもんな」
後悔「仕方ないです。仕事ですから」
怒り「嫌われるわけないだろ。向こうが悪いんだから」
愛情「嫌われるよ。特に狂気さんが出て行っちゃったら、どんなに向こうが悪くても嫌われるよ」
狂気「じゃあ今回俺は自粛するわ」
楽「争いなんてめんどくさいだけでしょ。部屋が片付いてないからって死にはしないんだから」
怒り「でも片付いてない状態が続いたら、またすぐに呼び出し食らうぜ」
議長「確かにそうですね。では、自分で片付けるというのはいかがでしょう」
分析「そうですね。約束については完全に諦めて、部屋が片付かない状況にまず手を売った方が建設的だと思います」
議長「ではそうすることにしましょう。よろしいですね、怒りさん」
怒り「了解。俺が必要になったらいつでも呼んでくれ」
議長「平和さん、あなたが出動して上手くやってください。分析さん、サポートお願いします」
平和・分析「ラジャ」

こんな感じでしょうか。こういう全体会議が、一日に何度も心の中で行われています。
しかしアスペルガー人の場合、ご主人により感情のスイッチが押されると、普段リーダーシップを発揮している議長が突然不在になって、全体会議が開催されません。
だから、怒りのスイッチが押されたら、怒りの部屋だけに呼び鈴が鳴り、怒りだけが出動します。
そして全てが終わった後、何もなかったかのように、議長が戻って来ます。そこで反省会のような事後会議が開かれて色々考えさせられるのですが、再びスイッチが押されるとまた議長がいなくなってしまいます。

前頭葉の働きがカギ

各感情がリンクしないこのような思考プロセスは、アスペルガー人が理解されない大きな要因のひとつです。
先ほどの全体会議の例えを人の脳の器官に当てはめると、外からの刺激に評価を下し反応を促す「扁桃体」がスイッチで、理性や思考、判断を司る「前頭葉」が議長。論理的思考と分析を司る「大脳新皮質」が分析さんとなります。
社会性を保つにはこの3つがバランスよく働かなければなりませんが、アスペルガー人の脳は前頭葉(議長)の働きが極端に鈍いという調査結果があります。だから扁桃体で発動した感情が制御されずに表に出てしまったり、論理的思考が暴走して理屈っぽくなってしまうのです。

前頭葉を鍛えることでアスペルガーの症状を改善させようとする試みは実際に行われています。
その基本は頭をリラックスさせることなので、瞑想をしたり睡眠時間を多くとることは有効とされています。
僕もこの2つは毎日の生活に取り入れていますが、感想としては、ある程度の効果は確実にあるものの、まだまだ怒りのスイッチを制御しきれているとは言えません。

だから今は、それに加えた新たな方法として、サプリにも注目しています。
調べてみると、びっくりするほど豊富な種類のサプリが「i-herb」などのネットショップで買えるんですね。これを利用しない手はありません。
まず僕は「社会性の改善」と「無駄な苛立ちの緩和」の改善を実感してみたいので、手始めにこれらのサプリを試してみることにしました。

  • オメガ3系脂肪酸
  • L-カルノシン
  • ビタミンB群
  • 亜鉛

サプリで脳のコンディションを整えたうえで認知行動療法を行えば、アスペルガーの改善にかなり近道なのではないでしょうか。
溢れる期待が止まりません。

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