アスペルガーを自覚した人が自己改革をする時に待ち受ける罠

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アスペルガーの思考と生き様

得体の知れない生き辛さに悩む人が「アスペルガー症候群」というものを知り、医師の診断や自己判断によって自分がそれに該当すると認識した時、たいていの人は解放された心持ちになるといいます。
自分自身の思いと感情と行動のちぐはぐさ、他者や世間との不可解な距離感、どんな成功体験を経ても消えることのない自己不全感など、長年抱いていた謎が論理的に解明されるからです。

しかし原因が特定できたからといって生き辛さが解消されるわけではありません。
専門家の指導を受けようが受けまいが、強い意志と継続的な行動による自己改革が必要になってきます。

もちろん何をどの程度改善させたいかは人それぞれですが、アスペルガー症候群は先天的な脳の機能障害なので、いくら努力してもそこから完全に逃れることはできません。
一生を通してその人の思考や性格をつかさどり、人間関係や社会生活など人生のあらゆる場面に影響を及ぼすものなので、原因が分かったところでそう簡単にコントロールできるものではないのです。

アスペルガー人がアスペルガーの思考と行動のもとでアスペルガーと対決するのですから、自己改革の途中には、自身を元のアスペルガーループに引き戻すための数々の罠が待ち受けています。
この罠にはまると、ある特性に改善の兆しが見えても、その代償のように別の悪い特性が露見する、ただのアスペルガーのジョブチェンジになってしまいます。

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孤立型アスペルガー人の僕がぶち当たった壁

孤立型アスペルガーである僕の自己改革は、無駄に人を傷つける無神経な言動と制御できない怒りをなんとかしたいと強く願って、アンガーマネジメントに本気で取り組もうとしたことが始まりでした。
その過程でアスペルガー症候群というものを知り、自分がそうであることを発見したのです。

アスペルガー人が生き辛さ軽減のために自己改革をするうえで、最低限必要なのは次の3つです。
これらがそろって初めてスタートラインに立つことができます。

  • 自分の特性への認識
  • 改善策への自発的な意識
  • 日常生活での実践

孤立型アスペルガーである僕は、これらを身につけるがために、知識を集め、自分との対話を重ね、こうしてブログを書くなどして日常的に意識し続ける土台を作りました。

アスペルガーならではの自分の特性を理解したことで、ずっと普通だと思っていた感覚がどれだけ世間一般とズレていたか、自分のどういう思考や言動が他人から理解されにくいのかを論理的に自覚できたのですが、頭で分かったからといって長年培った思考パターンをそう簡単に変えることはできません。

だから僕は、まずはとにかく「感情と言動の制御」ということだけに焦点を絞って、得た知識をもとに自分に何が必要なのかを分析しつつ、その分析をもとに自己観察と思考を繰り返し、日常生活の中で意識し続け、できることから実践していきました。
成功・失敗の体験と試行錯誤を繰り返した結果、感情が制御できなくなる前にブレーキをかける方法がなんとなく掴めてきて、怒りのコントロールや無神経な言動はある程度改善の兆しが見えてきたように思います。

しかしその過程で最初の罠にはまってしまいます。
自分の言動を意識しすぎて対人関係の袋小路にはまってしまったのです。

アスペルガー人は、何か問題についての対策を考えるとき、どうしても抗えない思考の癖があります。

  • 物事を多方向から突き詰めて考える癖
  • 無理やりにでも答えを出そうとする癖
  • 善か悪か、好きか嫌いか、ゼロか百かの二元論で考える癖
  • 論理性や合理性を優先させる癖
  • 結果を急いで求める癖

自分の怒りの感情も無神経な言動も、その矛先となるのはほどんどの場合、その時何かのきっかけで自分と関わった他人です。それを制御するということは、つまり対人関係の改善につながります。
しかし他人の感情を覗くことはできませんし、対人関係に答えなどありません。
答えのないものに答えを求め続けるというのは、宇宙の果てや死後の世界について延々と考えを巡らせるようなものです。やがて途方に暮れて、空恐ろしさだけが残ります。
こうして出ることのない答えを追い求めた結果、対人関係で自分が求める形が分からなくなり、完全に方向性を見失ってしまいました。

さらに、自分に共感力やコミュニケーション能力が備わっていないことは以前から経験によって自覚していましたが、それがアスペルガーの特性として論理的に裏付けられてしまったために、もともとあった対人関係における臆病さに拍車がかかってしまいました。

自分が自分の考えや感情を素直に表現したら問題が起こる、自分の思考や行動パターンは他人に通用しないものが多い、共感力の備わっていない自分は他人と永遠に分かり合うことはできない、ということを前提に人や世間と対峙するようになったので、相手の出方を過剰に気にするあまり、自分の主義主張は一切覆い隠して人に流されて生きる方が誰も傷つけずに済むのではないかと思うようになっていったのです。

このままではただの受動型へのジョブチェンジに過ぎないと気づいた僕は、ここで自分の思考にブレーキをかけました。
これではせっかく感情や言動の制御がうまくいっても「生き辛さの改善」にはつながらないからです。

このように、アスペルガーループの呪縛はどこまででもついてきます。
さすが脳の機能障害だけあって、そう簡単に先に進めさせてはくれません。
答えのないものを自分の理想に近づけようとしているのですから、長い時間をかけてトライ&エラーを重ねる覚悟が必要なのだと改めて思い知らされました。

対策は、とにかく改善したい特性に反抗して小さな成功体験を積み重ねること

アスペルガー人(特に孤立型)には、自分のスペックやスキルにある程度の自信を持っているにも拘わらず自己肯定感が低いという、おかしな心理状態で生きている人も多くいます。
何を努力して何を得てどんな結果を出しても、それとは別のところで付きまとう「対人関係への不全感」が、常に自分の心に大きな影を落としているのです。
これがアスペルガー人が抱える「生き辛さ」の最大の原因です。

アスペルガーを自覚した人が自分の「生き辛さ」の原因と仕組みを知った時、その改善のために行動を起こすかどうか、またその特性のどの部分を改善させたいと思うかは、その人の性格や環境によって違います。
しかし全ての改善計画は、最終的に「対人関係」へとつながります。

自分のアスペルガーの特性を知り、その悪い部分にあえて反抗し続けてみることは、アスペルガーの改善に唯一の有効な方法です。
こうして成功体験を積み重ねることで、少しづつ、自分のものにしていくのです。

マザーテレサの有名な言葉に、こういうものがあります。

「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
 言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
 行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
 習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
 性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。」

これは万人の心に突き刺さるド正論だと思います。
アスペルガーの脳の機能に逆らうことはできないので性格とまではいかないかもしれませんが、習慣化させることさえできれば目標達成といえるのではないでしょうか。

自分の特性を意識しながら日々自己観察をしていると、改善したい問題は山ほど出てきます。
問題を意識した時に、それが大きなストレスなしに行動に移せるものであれば、なんでもやってみる価値はあります。
特に対人関係では、失敗することもあるでしょう。結果を早く求めてしまうアスペルガー人にとってはとても難しい事なのですが、無理しすぎず、考えすぎず、そして失敗しても深く悩まず、小さなことから繰り返し実践していくことが大切です。

COMMENT

  1. 六川 より:

    こんにちは
    「どうしても抗えない思考の癖」は若い頃は全部当てはまりましたね
    今は歳を重ねたせいか少しは緩和されてきましたが

    ・物事を多方向から突き詰めて考える癖
    ・無理やりにでも答えを出そうとする癖
    この2つの癖はむしろ自分の長所かと考えてます
    学生時代も社会人になってからもこの癖の恩恵はあったかと思います

    ・善か悪か、好きか嫌いか、ゼロか百かの二元論で考える癖
    この癖は対人関係で顕著です。出会った人を好きか嫌いかで判断してしまい
    一旦嫌いになると同じ空気を吸うのも嫌になってしまいます
    どんな相手とでも付かず離れずうまく付き合っていける人が羨ましいです

    ・論理性や合理性を優先させる癖
    この癖も功罪ありますね。どちらかに極端すぎると生きづらくなります

    ・結果を急いで求める癖
    なにか問題を抱えて結果が出ずに宙ぶらりんの状態だと不安になりませんか?
    これはアスペというより自分のストレス耐性がないからかと思っていました

    • じゅうたろうじゅうたろう より:

      コメントありがとうございます。
      そうなんです。この「思考の癖」は、私の人生でも大いに役立ってくれた長所でもあります。
      ただ変な方向に行ってしまうと感情が追いつかなくなって、かえって状況を悪化させてしまうこともありました。
      長所を残したまま、思考の渦に飲み込まれない方法はないものですかね。。

      >>なにか問題を抱えて結果が出ずに宙ぶらりんの状態だと不安になりませんか?
      不安になります。
      アスペルガーを知る前は、自分がせっかちな性格だからだと思っていました。
      今は、完璧主義の傾向が「問題を抱えている状態」を許したくないからなのではないかと思います。

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